移住天国・宮古島
宮古島に家を買って内地から引っ越してきて、早や六年目になりました。
都内首都圏に比べると宮古島での生活は、基本的にお金がかかりません。

まぁ贅沢をすればキリはありませんが、普通に島の物を食べて、海であそんで、庭に作った畑の手入れをして、地元の趣味のサークルなどのお付き合いに参加して、たまに外食といった普通の暮らしであれば諸経費込みでも夫婦で月に10万円もあればお釣りがきます。

ドン・キホーテやイオンもあるので生活の不便はほとんどありませんし、アマゾンなどのネット通販を使えば、手に入らないものはほとんどありません。

うちはもともと夫婦して素潜りが好きで宮古島に引っ越してきたし、ブランド品やおしゃれなカフェやレストランには全く興味がないので、これで十分に幸せです。
というか、そーゆーものが好きな人は離島に移住なんかしないですよね(笑)
本当に移住するのに宮古島ほど良いところはなかったと思っています。
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リゾートバブルがやってきた!
と言えたのも3年前までの話。
当時は市内中心部の2DKのアパートの家賃が5,6万円。
普通のスラブヤーの築古中古戸建が300~500万円で買えました。
石垣島に比べるとリゾートや移住地としての知名度がイマイチだったお陰で、中古戸建は石垣よりも随分と安い値段で取引されていたんですね。(物件数はごくわずかでしたが)
それが今や、15平米のワンルームの家賃が11万円。
中には風呂トイレ共同のコンテナハウス、2.5畳で9万円などと言うとんでもない物件まであります。
島の人が昔から住んでいたアパートでも「来月から3万円値上げ。いやなら退去」という、とんでもない話が横行しています。

中古戸建にいたっては、3年前に500万円程度のものが、2000万円とか2500万円とか、首都圏の中古戸建のような値段になっています。

もちろん仕事も増えていますが、上がったのは内地から来る工事現場の人工代だけ。
島の一般企業の給料は変わらず、月に15万円程度です。(初任給じゃありませんよ!)
生活費が変わらなくても住宅費用がこれだけ高騰すると、島で働いて生活しようと考えている人が移住できる島ではなくなってしまいました。

移住者のパターン
「南の島のゆったりとした時間の中で、人間らしく暮らしたい」
そう思って沖縄移住を考える人は、今も後を絶ちません。

でも、地元の人ですら「生活が苦しい」と言っている土地で、他所から来た人が「ゆったり人間らしく暮らせる」かどうか、ちょっと冷静に考えればわかりますよね。

島で暮らしているナイチャー移住者は、いくつかのパターンに分かれます。

ゆったりと島暮らしを満喫している人
・年金や家賃収入などの不労所得がある人。
・内地の企業を対象にしたテレワークで、内地水準の所得がある人。
・島での商売に成功して、従業員を使って仕事を回しているビジネス・オーナー。
・なんだかよくわからないお金持ち(笑)

働きながら島暮らしを楽しんでいる人
・特殊な技術をもっていて、安定して高収入を得ている人。医療やIT関係者などが典型例です。
・島の企業で、それなりのポジションに就いている人。移住古参組が多いです。
・内地企業の転勤者。内地基準の給与に赴任手当までもらって優雅な生活ができます。

働きながら普通に暮らしている人
・特別なスキルもなく、島の企業で一般職員として働いている人。
・個人事業主
・農業従事者
・内地嫁、内地婿。宮古島の人と結婚したナイチャーなので移住者とは言わないかも。
・なんだかよくわからない風来坊。

移住者の天国と地獄
安かった頃に宮古島の戸建てを買って、年金や内地の家賃収入などで暮らしている人にとって、生活費の安い宮古島での暮らしは、なんの問題もありません。
家賃収入といっても首都圏の自宅を賃貸に回したり、家賃5万円程度の物件を複数もっていれば十分に暮らせるので、ちょっとした投資に成功すれば、南の島で快適なリタイア生活を送れます。
首都圏であれば月に3~40万円のお金が必要ですが、南の島ではその半分以下で楽々生活できますし、綺麗な海で遊び、格安の練習場やコースでゴルフに興じることも可能です。内地で暮らすには不十分な不労所得でも南の島なら優雅に暮らすことができます。
以前にタイなどの物価の安い国に年金生活者が移住することがブームになりましたが、あれと同じ仕組みですね。
中には内地と宮古島の家を行ったり来たりして、優雅に暮らしている方も沢山おられます
こういった暮らしを狙うには、今の不動産バブル真っ盛りの宮古島は厳しいでしょう。まだ不動産価格がそこそこ安定している石垣島や沖縄本島の一部などのほうがマシと思います。
それ以前に、「そもそも賃貸用不動産を買う金なんかないよ」と言われそうですが、ものはやりよう。わずかな自己資金から不動産投資を始めて成功している人もいます。資金の不足は頭と時間と身体をつかえば、どうとでもなるものです。


個人事業主にとって、急激なリゾートブームに沸く宮古島は、成功のチャンスが多いところかもしれません。
軽ワゴンを改造してタコスやチキンをビーチで売っていた人が、いつの間にかお店のオーナーになっていたというようなケースは、さほど珍しくありません。
上手く成功すればビジネス・オーナーにもなれます。
成功するためには本人のセンスと才覚と根性が必要ですが、アイデア次第ではまだまだ隙間があります。自信のある人には挑戦する価値がある分野でしょう。

一番大変なのは、島の企業で一般職員として働きながら「普通の暮らし」をしようと思っている人たちです。
まず、内地の人が考える「普通の暮らし」と地元の人の「普通の暮らし」に大きなギャップがあります。
給与面以外での一番のギャップは子育てで、全国平均よりも生徒の学力が低い沖縄や、それよりもさらに低い離島で、内地の親が考える「普通の教育」「普通の進学」を求めることが、いかに難しいかという現実に直面します。
「豊かな自然の中でのびのびと子育てをしたい」と思って移住する方も多いのですが、「のびのびした子育て」の結果は、内地レベルでの高校や大学の進学を考えたときに、反動となってかえってきます。

仕事も当然「内地レベルの給与」や「内地レベルのキャリアパス」は考えられません。
島の人たちは「仕事は生活のため」と考える人も多いので、「仕事で自己実現」といった考え方が薄いという意識の違いもあります。実際に「昇進するのはなんぎー」という沖縄の人は多いです。
仕事よりプライベートを優先することも普通で、ある意味欧米的とも言えます(笑)
これを、どっちが良い悪いと考えても無駄。その地、その場にあった対応が必要なのは当然のことですね。
親族経営の会社も多いので、とんでもない不条理が普通にはびこっていますし、昇進に関しても「地元優先」は普通です。
地元企業への就職にあたって「内地の高いレベルの仕事が役に立つはず」と思っている人もいるようですが(そう言われたりもします)それは大きな勘違いで、同僚には「小うるさいイヤなナイチャー」としか思われません。職場でのヒエラルキーは地元の人が上で、ナイチャーは下が現実です。
給与以外の労働条件も土曜勤務、サービス残業は当たり前。仕事ができない(やらない)人の分も黙ってカバーしなければならず、利害や意見が対立した時には「ナイチャーだから」と言われます。ブラックで不条理な面は覚悟しておくべきです。
そもそも親戚や血縁で経営している企業が多く、従業員もどこでどうつながっているのかが移住者にはわからないので、うかつな言動は慎むことが必要です。

内地系企業なら大丈夫かというと、そのような企業では「内地雇用」と「現地雇用」で給与や処遇に明確な格差をつけているのが普通です。
このような状況でも島の人たちと打ち解けて、島の生活水準で暮らせれば良いのですが、一度不満を感じると、それがどんどん増殖して、どうにもならなくなってしまう人も沢山います。

それで夢破れて内地で再就職しようとしても、就職活動はなかなか上手くいきません。企業の採用者は「沖縄で仕事がちゃんとできない奴に内地の仕事は無理でしょ」と思うのが当然です。
その結果として、一時の夢に踊らされた自分を後悔しながら南の島で生きつづけることになるという、とても残念な人がいるのも現実です。

内地の大学に行って内地の企業に就職した島の人が、なぜ島に帰ってこないのか、よく考えてみてくださいね。都会の人は気づかないかもしれませんが、島でしか得られない生活があるのと同様に、都会でしか実現できない生活があるのです。

この他にも、株のデイトレーダーとか、アルファブロガーとか、ユーチューバーとか、いろんな可能性もありそうですが、そちらは全くわからないので割愛します(笑)。

移住は計画的に
とりあえず働いて暮らせればオッケー!といった、その日暮らし派の移住者も沢山います。
男性であれば建設作業や農業の手伝い、女性であればキャバクラのホステスやカフェの店員など、その場限りの仕事ならいくらでもあるので、それらを上手くつないでいけば、島で働いて暮らすだけなら何も問題はありません。
そこから色々なご縁が生じて、良い結果に結びつくこともあるでしょうから、その日暮らし的な移住が悪いとも、一概には言えません。

しかし、家族連れのサラリーマンが「普通の生活」を頭に描いて島に勤め先をみつけて移住してくると、思い描いていた「普通」とあまりに違う世界に驚くことになります。
「勤め先があればなんとかなる」という考えは、必ずしも通用しません。

そして、もし万が一、移住暮らしが嫌になったときのリスクが非常に大きいのが、内地の引っ越しとは違う「沖縄移住の怖さ」です。
移住計画というと移住するための計画ばかりを考えてしまいますが、いつまでもそこに住み続けること、将来的に起きることまで含めた計画を立てなければなりません。

これは島の職場や人間関係だけの問題ではありません。移住して島に生活基盤を作るだけならどうにかなっても、将来的な子供の進学、親の介護などで島での生活を続けられなくなることも、あり得ます。
そういった将来のリスクを移住前に織り込んで移住計画を立てておかないと、先々こまったことになるのは目に見えていますよね。そこで後悔しても遅いのです。

特別なスキルもなく、自営のビジネスを作る根性もない普通の企業のサラリーマンでしたら、慌てて移住せずに、今のうちに頑張って資産形成をして、子供の進学などが一段落した時点で沖縄移住を考えるというのも、いいのではないでしょうか。
「どこに行っても暮らせるけど、沖縄が好きなんで沖縄暮らしをしています」
そんな生活を実現することは、決して不可能ではありません。


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