前回記事から随分と間が空いてしまいましたが、より安全に、楽しく、環境を破壊しないためのシュノーケリング法についてのお話です。
長文で、参考機材の紹介リンクも貼ってありますんで、お時間のある時にお読みください。
本ブログに書かれていることを行うにあたっては、全て自己責任でお願いいたします。
シュノーケリングはサンゴを壊す
これは宮古島市某所のリュウキュウキッカサンゴの群落を撮影した動画です。
知らない人が見れば綺麗なサンゴに見えるかもしれませんが、この種のサンゴは本来は下の写真ように綺麗な花弁の姿に育つものです。
この薄くて脆い花びらが壊されたのが動画の状態です。
海中にはこのような花びらの欠片がいたるところに散乱しています。
その原因の多くはこれ。
もちろん台風などの波で海中の岩が転がってサンゴを壊すこともあるのですが、シュノーケル客が増えるとサンゴの損傷が目立って増えるのも事実です。それはシュノーケリングに慣れない観光客が立ち泳ぎをして、サンゴを蹴ってしまうことが原因でしょう。実際、そのような姿を何度も目にしています。
これはスキューバダイビングのように講習やトレーニングを受ける必要がなく、お手軽にできてしまうシュノーケリングならでは問題です。
ガイドがついていても環境保護についての注意がおろそかなこともよくあります。
シュノーケリングガイドはスキューバと違って各種専門団体による認定制度はありませんし、タンクの貸し出しのような設備投資も不要なので、ガイドを自称してネットで集客をすれば誰でもフリーのガイドとして収入を得ることができます。
そのためガイドの質は玉石混交の状態で、中には技術、知識、環境保全意識の低いガイドがいるのも事実です。
自らサンゴを踏みつけにして客と会話しているガイドを目にしたこともあります。
行政が介入してガイドの許認可制とルール作りなどの措置が行われない限り、このような業者の観光シュノーケリング業によるサンゴの破壊は止められないでしょう。
それは、登山者しか来なかった山にロープウェイができると観光客が大挙して押し寄せ、高山植物を踏み荒らすようになってしまうのと同様で、観光化、リゾート化の弊害として避けられないものかもしれません。
そんな中でも、観光シュノーケリングでサンゴや海のすばらしさに触れ、これからも沖縄の海でシュノーケリングをしようと思った方がおられたら、正しいシュノーケリングの方法をおぼえて、少しでもサンゴに対して気を使ってくれるようになればいいな、と思います。
なぜ立ち泳ぎをするのか?
シュノーケリングや素潜りの鉄則は、
「海の中の物には一切手を触れない」
ことです。もちろん手だけではなくフィンが当たってもいけません。
シュノーケリングガイドの中には「十分な深さがあることを確認して立ち泳ぎをさせている」と言う人もいますが、立ち泳ぎをしている間に流されて、フィンがサンゴに当たってから気づくというのは良くあることで、これがサンゴを壊す原因の一つになっています。
ですので、基本的に
「立ち泳ぎは厳禁」です。
また、腰くらいの深さになると立って歩こうとする人もいますが、それだけの深さがあると海底には小さなサンゴが発育していますので、そのサンゴを踏みつけることになります。
ですのでシュノーケリングの流れとしては、
膝の深さになったら泳ぐ⇒泳いでる間は立ち泳ぎをしない。常に水泳の姿勢を保つ⇒波打ち際に戻ってくるまで歩かない。
が鉄則になります。
では、なぜシュノーケリングに慣れない人は立ち泳ぎをしたがるのでしょうか?
これは単純にシュノーケリングに慣れていない、水に慣れていないことが原因です。
水が怖く、シュノーケリングにストレスを感じているから顔を上げようとするのです。
私も経験の浅い友人のシュノーケリングに同行することがありますが、彼らは決まって顔を水面に上げようとします。
その理由を聞くと
「マスクに水が入った」
「シュノーケルの水が抜けない」
「息苦しくなった」
と言います。
しかし、これは実際にマスクやシュノーケルに異常なほどの水が入っているわけではありません。シュノーケリングなら普通の状態の少量の水が気になっているだけのことです。
つまり、シュノーケリングに対する知識の不足、機材の扱いの未熟、水に対する心理的なストレス、基礎的な水泳力が無い、といったことが原因です。
これ以上サンゴを壊さないために、今回はシュノーケリングの基礎的な知識と技術についてお話します。
また、シュノーケリングを毎年1回でもやろうという方は、最低でもマスク、シュノーケル、フィンの3点セットは自前で用意すべきです。これがあれば近くの海水浴場でも水中世界を楽しむことができます。三点セットは必ず自前で!
セットを揃えても1万円でお釣りがくるので、結局はレンタルよりも安上がりです。自前の道具を揃えるのを厭う人は登山道具も持たずに山に登る人のようなもので、そもそもシュノーケリングをやる資格が無いと思います。
三点セットの選び方について、初心者と上級者のそれぞれのポイントについても解説します。
水は入るもの
アタリマエのことですが、シュノーケルはただの筒なので筒先から水が入ってきます。
マスクも顔の筋肉がうごけば、わずかな隙間から水が入ってきます。
大事なのは「水が入ってきても驚かない」こと「少しくらいの水はアタリマエと思う」ことです。
マスクの内側が曇った時にはマスク内に水を入れてガラス面を洗うこともあります。当然、内側には若干の水が残ります。
水の中にいるのですから「完全ドライ」はあり得ません。単なる馴れの問題です。
シュノーケリング・ベストについて
これを書くと賛否両論、喧々諤々の論議になると思うので、あくまで私個人の考えとしてお読みください。
近頃はシュノーケリングの必需品としてシュノーケリングベストの着用が推奨されています。
これは見てわかるとおり船が難破した時に使うライフベストと同じものです。
飛行機に乗ると「膨らみがたりない時は両側の筒を吹いて~」とやる、あれと同じ。
本来の機能は「強制的に顔を水面に出した状態にすること」であり、水泳の姿勢を取るためのものではありません。
つまりシュノーケリングベストを着用していると上半身に浮力が働き、自然と立ち泳ぎの姿勢になるのです。
シュノーケリング中にはシュノーケルとマスクを着用しているのですから、顔を水面につけて水泳の姿勢を取っていれば身体は自然に浮きますし、その状態で呼吸も確保できますから、顔を強制的に水面に出すようにするシュノーケリング・ベストは本来は必要のない物です。
潮流に流されるなどの事故時の浮力確保が目的であれば、ウェット・スーツを着用するべきです。
なぜならば漂流時には浮力確保と同時に体温の確保も必要になるので、体温確保ができないシュノーケリング・ベストでは役に立たないからです。
高品質の3㎜ウェットスーツでも1万円ちょっとで買えますし、安いものを探せば5~6千円のものもあります。
ウェットスーツは全身に浮力が働くので正しい水泳姿勢を楽に取ることができますし、もちろん立ち泳ぎ姿勢でも十分な浮力が確保されます。
フルスーツのほうが体温保持の効果は高いのですが、着脱が面倒という人はセパレートで上下を揃えてもよいでしょう。
夏の沖縄なら1.5㎜~3㎜で十分です。私は冬でも3㎜のフルスーツで泳いでいますが(笑)
シュノーケルの正しい使い方
シュノーケルはスキューバダイビングのレギュレーターではないので、水中に没した状態での呼吸はできませんし、筒先からは水が入ります。
水面を泳いでいる時でも顔を傾ければ水が入ってきますし、波が被っても水が入ります。
ですから「常に水が入ってくることが前提」と思ってください。
具体的には、不意に水が入ってきても、それがいきなり気道や肺に入らないように、シュノーケルを咥えた口を舌で軽く塞ぐようにして、息は小さく細かく吸います。一気に大きく息をしてはイケマセン。
逆に吐くときには、筒の中に残った水滴を吹き飛ばすように、一気に大きく強く息を吐きます。
常にスッ、スッ、スッ、スッと吸って、ブホッ!っと吐くように呼吸します。
水面を泳いでいる時でも、不意に水が入ってきたときに、それが気道や肺に入らないように、常にこのような呼吸をすることが大事です。
シュノーケルの選び方
シュノーケルには排水弁がついたものと、単なる筒のものがあります。
黒がただの筒、ピンクが排水弁付きです。
排水弁付きのほうがシュノーケル内の水を吹き出すのが楽ということで、特に女性などにはこちらを勧めることがあるようですが、先に説明した正しい呼吸法ができれば排水弁がなくても問題はありません。排水弁はこのようなワンウェイの蓋(シリコン製)ですが、ここに砂粒が噛んだりすると浸水の原因になりますし、このバルブが壊れたらシュノーケルとして役に立ちません。
海の中ではトラブルの原因を極力減らしたいので、私は排水弁が無いシンプルなものを使っています。
シュノーケルは単体で買うよりも、マスクとのセットで売っている物を買ったほうが安上がりでしょう。一流メーカーのマスク・シュノーケルのセットでも、安いものは3000円前後で売っていることがあります。(このセット、安売りの時は2000円を切っていましたw)
潜水時(素潜り)のシュノーケルの使い方
潜水すればシュノーケルの先から水が入って来るので呼吸はできません(アタリマエ)。潜水中は息を止めておいて、海面に戻ってからシュノーケルの中の水を一気に吐き出すようにするのが基本です。
2~3mの深さに短時間潜る時にはそれでも良いのですが、魚の写真を撮るために水中で30秒以上息を止めたり、5m以上深く潜るといった素潜りをする人は、シュノーケルを口から外したほうが良いでしょう。
その理由は主に3つです。
1.溺水リスクを減らす
シュノーケルを咥えて水中にいるということは肺と水中がつながっていて、それを喉で塞いでいる状態ですから、何かあったときには水が肺に入って来る危険があります。
シュノーケルを外して口を閉じていれば物理的に水が入ってきません。なんらかの理由で水中で意識混濁や意識喪失を起こした時に肺に水が入らないよう、水中で息をこらえたり、深く潜る時には口からシュノーケルを外して口を閉じておいたほうが安全です。
2.呼吸再開時のリスクを減らす
水中で息をこらえて苦しくなってから水面に上がってきた時、体内は軽い酸欠状態になっています。そこで海面に戻ってきた時にシュノーケル内の水をクリアするために大きく息を吐くと、肺の中の空気が一気にぬけて酸欠になり、意識を失う危険があります。
シュノーケルを咥えていなければ、海面に顔を出して、小さく素早い呼吸を繰り返すことで安全に肺の中の空気を入れ替えることができます。
3.耳抜きがしやすい
水深2~3mになると水圧で鼓膜が押されて耳が痛くなります。これを均圧するために息を耳管から耳の内側に送ることを「耳抜き」といい、これは素潜りに必須の技術です。
やり方は、鼻をつまんで口の中の圧を高めて時間に空気を送る方法が一般的ですが、シュノーケルを外して口を閉じていたほうが、耳抜きがやりやすくなります。
シュノーケルの点検
シュノーケルはシリコンやゴムでできているので劣化すると亀裂が入ります。しばらく使っていなかったシュノーケルを使う時には亀裂がないか点検しましょう。
排水弁付きのものは排水弁に異常がないか確認しましょう。
点検法は、シュノーケルの口の部分を指で塞いで反対側を咥えて吹いてみます。亀裂があればそこから息が漏れるのでわかります。
ちなみにこのシュノーケル、亀裂にしばらく気付かずに使っていました。
意外と浸水しないもんですね(笑)
マスクの使い方
マスクは正しく装着すれば、さほど使い方に気をつかうことはありません。
装着時の注意点としては、マスクと顔の間に髪の毛をはさまないこと。
髪の毛がはさまっていると、そこから水が浸入します。
新品のマスクは曇りやすいので、マスクの内側を中性洗剤でよく洗い、できれば1日くらい中性洗剤を薄めた水につけて、マスクの内側の油分を洗い流しておきます。使用時には曇り止めを使ったほうが良いでしょう。
いろいろな曇り止めが売られていますが、どれも大差ないように感じます。絶対に曇らない曇り止めは見たことがありません。
無意識に鼻で息をしているとマスクが曇りやすくなるので、水中マスクを装着している時は、常に軽く鼻から息を吸っている状態にしていると曇りづらくなります。
マスクに水が入ったら
鼻の穴が隠れるほどの大量の水がマスクにはいったら、マスクの上を額に押し付け、鼻の下を少し持ち上げて鼻からゆっくりと息を出せば、マスク内の水は外に出て行きます。立ち泳ぎをしなくても、前をみるように少し顔を持ち上げるだけで行うことができます。
この動画がわかりやすいので参考にして、お風呂の中で練習してください。
どうしても水中でやりづらいなら背泳ぎをしてマスクを浮かせば水は顔を伝って出て行きます。背泳ぎをする時はシュノーケルから水が入って来るので、シュノーケルは口から外してくださいね。
普通はマスクが顔に正しく装着されていればそれほど大量の水が入ることは、まずありません。
多くのシュノーケリング初心者が「マスクに水が入る」と言うのは、わずかな水がマスクの鼻の下に溜まっているような状態です。顔を動かすと上唇の動きでわずかな水が入ってくるので、それが不快にかんじるのです。しかし、鼻に入ってこない程度の水分ならば問題ありません。わずかな浸水は「そーいったもの」と慣れるしかありません。
マスクの選び方
マスクにはいくつか種類があります。
左が単眼、右が複眼のマスク、上段は普通のマスクで、下段は内容積の少ないローボリュームマスクです。
単眼のマスクのほうが視界が広く、スカート部分がクリアシリコンのものは視野が明るく感じるので、初心者には単眼のクリアシリコンマスクが良いでしょう。
アマゾンや楽天でいろいろな物を売っていますが、普通のシュノーケリングに使うのに問題があるような製品はないと思います。心配ならばGull、TUSA、クレッシー・サブ、Mares、Aqualungのような一流メーカーの物をえらんでおけば間違いないでしょう。マスク・シュノーケルのセットで5000円以下で買えます。
ダイビングショップなどで実際に装着できるようなら、ストラップをかけずにマスクを顔に当てて鼻から軽く息を吸ってみます。それで手を離してもマスクが顔から落ちないようであれば、そのマスクは顔に合っています。普通のシュノーケリング、ダイビング用のマスクであれば顔に合わないということは、あまりないでしょう。
ローボリュームマスクは水深10m以上の素潜りをする人が使う特殊なものです。
水深が深くなると水圧でマスクの中が負圧になって顔が絞られるマスクスクイーズという現象が起こります。放っておくと目が内出血することもあるので、これを解消するために鼻からマスクに息を送り込んで水圧と均衡させるマスクブローが必要になります。
10m以上潜るような人にとってはマスクブローの空気ももったいないので、スクイーズを最小限にする内容量の少ないマスクを使うのです。
海外では水中銃で魚を獲るスピアフィッシングを趣味としている人が多いので、このようなローボリュームマスクがいろいろと開発されています。また、フリーダイビングの選手もこのようなマスクを使用しています。ただ視界が狭いので周囲に注意しないと思わぬところにぶつかったりします。
まぁ、特殊用途のマスクなので一般のシュノーケリング愛好者には関係のないものですね。
ローボリュームマスクは海外の製品が多いので日本人の顔に合わないものも多く、使い勝手の良さは使ってみるまでわからないところがあり、ハマると散財する羽目になります。製造メーカーは、クレッシー・サブやMaresのほかに、OMER、Salvimar、Picasso、Sporasubといったスピアフィッシング系のメーカーから、いろいろと革新的なものが発売されています。
↓ 内容量が極端に小さい曲面構成のマスク。顔に合う合わないの相性がシビアです。
近視用の度付きマスク
近視の人用に度付きのマスクが販売されています。
また、水中マスクの内側にセットするメガネも販売されています。
古い眼鏡のつるを外してマスクの内側にセットしている人もいます。
私と相方は使い捨てコンタクトレンズを使用していますが、今までそれが原因でトラブルになったことはありません。海外のダイバーはコンタクトレンズを使うのが普通のようです。
目に海水が入ると雑菌がコンタクトレンズで繁殖する危険があるので、1回使い捨てのソフトレンズがおすすめです。
フィンの選び方
最初に断言してしまいますが、このようなシュノーケリング用といわれるフィンは全くおすすめできません。
理由は単純で、このようなフィンではたいした推進力が得られないからです。
このようなフィンは、もともとは水泳の選手が足首の柔軟性やキック力やキック効率の強化のために使っていたトレーニング用のフィンで、ダイビングやシュノーケリングのためのフィンではありません。
こんなフィンを履くくらいなら、普通にクロールで泳いだほうがよっぽど進みます(笑)
フィンを履く目的は「楽に長時間泳ぐこと」と、潮の流れに捕まった時に脱出できる「十分な瞬発力を得る」ことです。このようなフィンでは、どちらの目的にもかないません。
また、このようなフィンは水泳のように細かくたくさん蹴ることが必要になるので、魚を驚かせてしまいますし、なによりバシャバシャと見た目がよろしくありません。
やはり、ダイビング用のフィンを使って、ゆったりと大きなストロークで優雅に泳ぐほうが楽にシュノーケリングを楽しむことができます。
シュノーケリングの定番フィンと言えばGullのミューです。
最低でも、このくらいの長さのフィンが必要だと思ってください。
このシリーズには、さらに長いスーパー・ミューやワープというシリーズがあります。
いずれもゴムの質が良くて、履きやすく十分な推進力を得られる優れたフィンです。
脚力の弱い方でも、きちんとキックすれば普通に使いこなせます。
ただし問題が一つあって、それは「値段が高い」こと。
ミューが12,000円、ワープはその倍くらいのお値段です。
そこで値段のことも考えて、私がおすすめするのは、これ。
あのジャック・マイヨールのスポンサーもしていた一流メーカー、クレッシーサブのAGUAです。
プラスチックフィンなので値段も3,000円台とお安く、性能的にはミューやスーパーミューと同等です。国産メーカーのTUSAなどからも同様のフィンが同様の価格で出ていますが、どれも大差ないでしょう。繰り返しますが、シュノーケリングをやるには最低でもこのくらいの長さのフィンが必要です。
もちろんフィンが長くなった分だけ、サンゴを蹴らないような配慮と技術が必要です。
大きなフィンだと疲れるのでは?
こういった本格的なフィンを勧めると、初心者の方は「足が痛くならないか」「疲れちゃうんじゃないか」と心配されますが、長いフィンを使う最大の目的は「楽をすること」です。
スピアフィッシングをやる人は、20~30mも潜って1分間息をこらえて魚を取ってきますが、彼らが使うフィンは80㎝以上もあるロングフィンです。
彼らがこのようなフィンを使う最大の理由は「疲れないため」。疲れたら息が上がって水中に長時間いられませんからね。
3、4時間泳いで魚を探して2~30m潜って突いてくるくるんですから、最大限に楽に泳げるフィンでないと話にならないのです。
ですので「長いフィンは疲れそう」ではなく「長いフィンほど疲れない」と考えてください。
ただし、長いフィンで楽に泳ぐためには、それ相応のフィンキックの技術が必要です。
そのコツは「長いフィンほどゆっくり大きく動かす」ことです。
シュノーケリング用と言われている水泳のトレーニングフィンは、クロールと同じようなテンポでキックをしなければ進みません(本来が水泳用なんだから当然です)。
これに対して、ミューやワープのようなダイビングフィンは、ゆっくりと散歩をする歩調くらいのテンポでキックをし、ロングフィンではさらにゆっくりと大きくフィンを動かします。
イメージとしては、腿の下にある水の塊が腿~膝~脛~足~フィンと順に送られていき、最後に大きくしなったフィンの先端が水の塊を弾き出すような感じです。
こちらの動画を見ると、ゆったりと泳ぐイメージがわかるかと思います。
これは水中での映像ですが、海面でもフィンキックのイメージは同じです。違うのはフィンを空中に出さず、常に水中でキックするように注意する点だけです。
これだけゆったりとリラックスして泳げるようになれば、魚が驚いて逃げ出すこともなくなりますよ。
フルフットかオープンヒールか?
ダイビングフィンには、靴のように足全体がすっぽり入るフルフットと
サンダルのように踵をストラップで止めるオープンヒール(ストラップフィン)の二種類があります。
どちらが良いかといえば、これは足のホールドが断然快適なフルフットフィンしかないでしょう。
素足でフルフットフィンを履くのが最も快適ですが、海に入るまでの磯や砂利浜で足がボロボロになってしまうので、フィンソックスを履いた上からフィンを履くのが一般的です。
このGullの地下足袋のようなソックスはサンダルが履けるので便利です。底が少し厚手になっているものの方が岩場などでは安心です。
このような2~3㎜のネオプレーン製のソックスを履く時のフィンサイズは、素足よりも2㎝ほど大きめになります。
水中でもっとリラックスするために
このように自前の道具を揃えて、その扱いに慣れてきて、ゆったりと泳げるダイビングフィンを使えるようになれば、今よりもリラックスしてシュノーケリングを行うことができます。
さらにリラックスできるようになりたいならば、背の立つ深さのところで海底の岩に捕まって10秒ほど息を止めて海中の様子を見てみましょう。(間違ってもサンゴに捕まってはいけませんよ!)
波の音や砂の音、チリチリという不思議な音など、陸上とは違った世界を感じることができます。
そうして海中でもリラックスできるようになったら、上のプール動画のように海中を泳いでみましょう。りきまず、あわてず、ゆっくりと泳いでいると、海の中がとても心の安まる気持ちの良い空間に思えてきます。
水中でリラックスするためのポイントは、なによりも水になれることです。
たまにプールで泳ぐなどして基本的な水泳力をつけることは、最高に効果的なシュノーケリングの練習になります。
サンゴを守るために
ここまでの技術を身に着けたあなたは、バチャバチャと大騒ぎをして立ち泳ぎをするような観光シュノーケリングの客とは違った、本当のシュノーケラーです。
そうなればサンゴを傷つけることもなく、海を汚すこともなく、安全で自然に優しいシュノーケリングができるようになっているはずです。
サンゴを守るための最善の方法は、シュノーケリングをする人ひとりひとりの技術と知識の向上だと、私は思います。
沖縄の美しい海を子孫にも楽しんでもらうために、みなさんがもう少し本格的にシュノーケリングをやってくれることを願います。
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本ブログに書かれていることを行うにあたっては、全て自己責任でお願いいたします。
シュノーケリングはサンゴを壊す
これは宮古島市某所のリュウキュウキッカサンゴの群落を撮影した動画です。
知らない人が見れば綺麗なサンゴに見えるかもしれませんが、この種のサンゴは本来は下の写真ように綺麗な花弁の姿に育つものです。
この薄くて脆い花びらが壊されたのが動画の状態です。
海中にはこのような花びらの欠片がいたるところに散乱しています。
その原因の多くはこれ。
もちろん台風などの波で海中の岩が転がってサンゴを壊すこともあるのですが、シュノーケル客が増えるとサンゴの損傷が目立って増えるのも事実です。それはシュノーケリングに慣れない観光客が立ち泳ぎをして、サンゴを蹴ってしまうことが原因でしょう。実際、そのような姿を何度も目にしています。
これはスキューバダイビングのように講習やトレーニングを受ける必要がなく、お手軽にできてしまうシュノーケリングならでは問題です。
ガイドがついていても環境保護についての注意がおろそかなこともよくあります。
シュノーケリングガイドはスキューバと違って各種専門団体による認定制度はありませんし、タンクの貸し出しのような設備投資も不要なので、ガイドを自称してネットで集客をすれば誰でもフリーのガイドとして収入を得ることができます。
そのためガイドの質は玉石混交の状態で、中には技術、知識、環境保全意識の低いガイドがいるのも事実です。
自らサンゴを踏みつけにして客と会話しているガイドを目にしたこともあります。
行政が介入してガイドの許認可制とルール作りなどの措置が行われない限り、このような業者の観光シュノーケリング業によるサンゴの破壊は止められないでしょう。
それは、登山者しか来なかった山にロープウェイができると観光客が大挙して押し寄せ、高山植物を踏み荒らすようになってしまうのと同様で、観光化、リゾート化の弊害として避けられないものかもしれません。
そんな中でも、観光シュノーケリングでサンゴや海のすばらしさに触れ、これからも沖縄の海でシュノーケリングをしようと思った方がおられたら、正しいシュノーケリングの方法をおぼえて、少しでもサンゴに対して気を使ってくれるようになればいいな、と思います。
なぜ立ち泳ぎをするのか?
シュノーケリングや素潜りの鉄則は、
「海の中の物には一切手を触れない」
ことです。もちろん手だけではなくフィンが当たってもいけません。
シュノーケリングガイドの中には「十分な深さがあることを確認して立ち泳ぎをさせている」と言う人もいますが、立ち泳ぎをしている間に流されて、フィンがサンゴに当たってから気づくというのは良くあることで、これがサンゴを壊す原因の一つになっています。
ですので、基本的に
「立ち泳ぎは厳禁」です。
また、腰くらいの深さになると立って歩こうとする人もいますが、それだけの深さがあると海底には小さなサンゴが発育していますので、そのサンゴを踏みつけることになります。
ですのでシュノーケリングの流れとしては、
膝の深さになったら泳ぐ⇒泳いでる間は立ち泳ぎをしない。常に水泳の姿勢を保つ⇒波打ち際に戻ってくるまで歩かない。
が鉄則になります。
では、なぜシュノーケリングに慣れない人は立ち泳ぎをしたがるのでしょうか?
これは単純にシュノーケリングに慣れていない、水に慣れていないことが原因です。
水が怖く、シュノーケリングにストレスを感じているから顔を上げようとするのです。
私も経験の浅い友人のシュノーケリングに同行することがありますが、彼らは決まって顔を水面に上げようとします。
その理由を聞くと
「マスクに水が入った」
「シュノーケルの水が抜けない」
「息苦しくなった」
と言います。
しかし、これは実際にマスクやシュノーケルに異常なほどの水が入っているわけではありません。シュノーケリングなら普通の状態の少量の水が気になっているだけのことです。
つまり、シュノーケリングに対する知識の不足、機材の扱いの未熟、水に対する心理的なストレス、基礎的な水泳力が無い、といったことが原因です。
これ以上サンゴを壊さないために、今回はシュノーケリングの基礎的な知識と技術についてお話します。
また、シュノーケリングを毎年1回でもやろうという方は、最低でもマスク、シュノーケル、フィンの3点セットは自前で用意すべきです。これがあれば近くの海水浴場でも水中世界を楽しむことができます。三点セットは必ず自前で!
セットを揃えても1万円でお釣りがくるので、結局はレンタルよりも安上がりです。自前の道具を揃えるのを厭う人は登山道具も持たずに山に登る人のようなもので、そもそもシュノーケリングをやる資格が無いと思います。
三点セットの選び方について、初心者と上級者のそれぞれのポイントについても解説します。
水は入るもの
アタリマエのことですが、シュノーケルはただの筒なので筒先から水が入ってきます。
マスクも顔の筋肉がうごけば、わずかな隙間から水が入ってきます。
大事なのは「水が入ってきても驚かない」こと「少しくらいの水はアタリマエと思う」ことです。
マスクの内側が曇った時にはマスク内に水を入れてガラス面を洗うこともあります。当然、内側には若干の水が残ります。
水の中にいるのですから「完全ドライ」はあり得ません。単なる馴れの問題です。
シュノーケリング・ベストについて
これを書くと賛否両論、喧々諤々の論議になると思うので、あくまで私個人の考えとしてお読みください。
近頃はシュノーケリングの必需品としてシュノーケリングベストの着用が推奨されています。
これは見てわかるとおり船が難破した時に使うライフベストと同じものです。
飛行機に乗ると「膨らみがたりない時は両側の筒を吹いて~」とやる、あれと同じ。
本来の機能は「強制的に顔を水面に出した状態にすること」であり、水泳の姿勢を取るためのものではありません。
つまりシュノーケリングベストを着用していると上半身に浮力が働き、自然と立ち泳ぎの姿勢になるのです。
シュノーケリング中にはシュノーケルとマスクを着用しているのですから、顔を水面につけて水泳の姿勢を取っていれば身体は自然に浮きますし、その状態で呼吸も確保できますから、顔を強制的に水面に出すようにするシュノーケリング・ベストは本来は必要のない物です。
潮流に流されるなどの事故時の浮力確保が目的であれば、ウェット・スーツを着用するべきです。
なぜならば漂流時には浮力確保と同時に体温の確保も必要になるので、体温確保ができないシュノーケリング・ベストでは役に立たないからです。
高品質の3㎜ウェットスーツでも1万円ちょっとで買えますし、安いものを探せば5~6千円のものもあります。
ウェットスーツは全身に浮力が働くので正しい水泳姿勢を楽に取ることができますし、もちろん立ち泳ぎ姿勢でも十分な浮力が確保されます。
フルスーツのほうが体温保持の効果は高いのですが、着脱が面倒という人はセパレートで上下を揃えてもよいでしょう。
夏の沖縄なら1.5㎜~3㎜で十分です。私は冬でも3㎜のフルスーツで泳いでいますが(笑)
シュノーケルの正しい使い方
シュノーケルはスキューバダイビングのレギュレーターではないので、水中に没した状態での呼吸はできませんし、筒先からは水が入ります。
水面を泳いでいる時でも顔を傾ければ水が入ってきますし、波が被っても水が入ります。
ですから「常に水が入ってくることが前提」と思ってください。
具体的には、不意に水が入ってきても、それがいきなり気道や肺に入らないように、シュノーケルを咥えた口を舌で軽く塞ぐようにして、息は小さく細かく吸います。一気に大きく息をしてはイケマセン。
逆に吐くときには、筒の中に残った水滴を吹き飛ばすように、一気に大きく強く息を吐きます。
常にスッ、スッ、スッ、スッと吸って、ブホッ!っと吐くように呼吸します。
水面を泳いでいる時でも、不意に水が入ってきたときに、それが気道や肺に入らないように、常にこのような呼吸をすることが大事です。
シュノーケルの選び方
シュノーケルには排水弁がついたものと、単なる筒のものがあります。
黒がただの筒、ピンクが排水弁付きです。
排水弁付きのほうがシュノーケル内の水を吹き出すのが楽ということで、特に女性などにはこちらを勧めることがあるようですが、先に説明した正しい呼吸法ができれば排水弁がなくても問題はありません。排水弁はこのようなワンウェイの蓋(シリコン製)ですが、ここに砂粒が噛んだりすると浸水の原因になりますし、このバルブが壊れたらシュノーケルとして役に立ちません。
海の中ではトラブルの原因を極力減らしたいので、私は排水弁が無いシンプルなものを使っています。
シュノーケルは単体で買うよりも、マスクとのセットで売っている物を買ったほうが安上がりでしょう。一流メーカーのマスク・シュノーケルのセットでも、安いものは3000円前後で売っていることがあります。(このセット、安売りの時は2000円を切っていましたw)
潜水時(素潜り)のシュノーケルの使い方
潜水すればシュノーケルの先から水が入って来るので呼吸はできません(アタリマエ)。潜水中は息を止めておいて、海面に戻ってからシュノーケルの中の水を一気に吐き出すようにするのが基本です。
2~3mの深さに短時間潜る時にはそれでも良いのですが、魚の写真を撮るために水中で30秒以上息を止めたり、5m以上深く潜るといった素潜りをする人は、シュノーケルを口から外したほうが良いでしょう。
その理由は主に3つです。
1.溺水リスクを減らす
シュノーケルを咥えて水中にいるということは肺と水中がつながっていて、それを喉で塞いでいる状態ですから、何かあったときには水が肺に入って来る危険があります。
シュノーケルを外して口を閉じていれば物理的に水が入ってきません。なんらかの理由で水中で意識混濁や意識喪失を起こした時に肺に水が入らないよう、水中で息をこらえたり、深く潜る時には口からシュノーケルを外して口を閉じておいたほうが安全です。
2.呼吸再開時のリスクを減らす
水中で息をこらえて苦しくなってから水面に上がってきた時、体内は軽い酸欠状態になっています。そこで海面に戻ってきた時にシュノーケル内の水をクリアするために大きく息を吐くと、肺の中の空気が一気にぬけて酸欠になり、意識を失う危険があります。
シュノーケルを咥えていなければ、海面に顔を出して、小さく素早い呼吸を繰り返すことで安全に肺の中の空気を入れ替えることができます。
3.耳抜きがしやすい
水深2~3mになると水圧で鼓膜が押されて耳が痛くなります。これを均圧するために息を耳管から耳の内側に送ることを「耳抜き」といい、これは素潜りに必須の技術です。
やり方は、鼻をつまんで口の中の圧を高めて時間に空気を送る方法が一般的ですが、シュノーケルを外して口を閉じていたほうが、耳抜きがやりやすくなります。
シュノーケルの点検
シュノーケルはシリコンやゴムでできているので劣化すると亀裂が入ります。しばらく使っていなかったシュノーケルを使う時には亀裂がないか点検しましょう。
排水弁付きのものは排水弁に異常がないか確認しましょう。
点検法は、シュノーケルの口の部分を指で塞いで反対側を咥えて吹いてみます。亀裂があればそこから息が漏れるのでわかります。
ちなみにこのシュノーケル、亀裂にしばらく気付かずに使っていました。
意外と浸水しないもんですね(笑)
マスクの使い方
マスクは正しく装着すれば、さほど使い方に気をつかうことはありません。
装着時の注意点としては、マスクと顔の間に髪の毛をはさまないこと。
髪の毛がはさまっていると、そこから水が浸入します。
新品のマスクは曇りやすいので、マスクの内側を中性洗剤でよく洗い、できれば1日くらい中性洗剤を薄めた水につけて、マスクの内側の油分を洗い流しておきます。使用時には曇り止めを使ったほうが良いでしょう。
いろいろな曇り止めが売られていますが、どれも大差ないように感じます。絶対に曇らない曇り止めは見たことがありません。
無意識に鼻で息をしているとマスクが曇りやすくなるので、水中マスクを装着している時は、常に軽く鼻から息を吸っている状態にしていると曇りづらくなります。
マスクに水が入ったら
鼻の穴が隠れるほどの大量の水がマスクにはいったら、マスクの上を額に押し付け、鼻の下を少し持ち上げて鼻からゆっくりと息を出せば、マスク内の水は外に出て行きます。立ち泳ぎをしなくても、前をみるように少し顔を持ち上げるだけで行うことができます。
この動画がわかりやすいので参考にして、お風呂の中で練習してください。
どうしても水中でやりづらいなら背泳ぎをしてマスクを浮かせば水は顔を伝って出て行きます。背泳ぎをする時はシュノーケルから水が入って来るので、シュノーケルは口から外してくださいね。
普通はマスクが顔に正しく装着されていればそれほど大量の水が入ることは、まずありません。
多くのシュノーケリング初心者が「マスクに水が入る」と言うのは、わずかな水がマスクの鼻の下に溜まっているような状態です。顔を動かすと上唇の動きでわずかな水が入ってくるので、それが不快にかんじるのです。しかし、鼻に入ってこない程度の水分ならば問題ありません。わずかな浸水は「そーいったもの」と慣れるしかありません。
マスクの選び方
マスクにはいくつか種類があります。
左が単眼、右が複眼のマスク、上段は普通のマスクで、下段は内容積の少ないローボリュームマスクです。
単眼のマスクのほうが視界が広く、スカート部分がクリアシリコンのものは視野が明るく感じるので、初心者には単眼のクリアシリコンマスクが良いでしょう。
アマゾンや楽天でいろいろな物を売っていますが、普通のシュノーケリングに使うのに問題があるような製品はないと思います。心配ならばGull、TUSA、クレッシー・サブ、Mares、Aqualungのような一流メーカーの物をえらんでおけば間違いないでしょう。マスク・シュノーケルのセットで5000円以下で買えます。
ダイビングショップなどで実際に装着できるようなら、ストラップをかけずにマスクを顔に当てて鼻から軽く息を吸ってみます。それで手を離してもマスクが顔から落ちないようであれば、そのマスクは顔に合っています。普通のシュノーケリング、ダイビング用のマスクであれば顔に合わないということは、あまりないでしょう。
ローボリュームマスクは水深10m以上の素潜りをする人が使う特殊なものです。
水深が深くなると水圧でマスクの中が負圧になって顔が絞られるマスクスクイーズという現象が起こります。放っておくと目が内出血することもあるので、これを解消するために鼻からマスクに息を送り込んで水圧と均衡させるマスクブローが必要になります。
10m以上潜るような人にとってはマスクブローの空気ももったいないので、スクイーズを最小限にする内容量の少ないマスクを使うのです。
海外では水中銃で魚を獲るスピアフィッシングを趣味としている人が多いので、このようなローボリュームマスクがいろいろと開発されています。また、フリーダイビングの選手もこのようなマスクを使用しています。ただ視界が狭いので周囲に注意しないと思わぬところにぶつかったりします。
まぁ、特殊用途のマスクなので一般のシュノーケリング愛好者には関係のないものですね。
ローボリュームマスクは海外の製品が多いので日本人の顔に合わないものも多く、使い勝手の良さは使ってみるまでわからないところがあり、ハマると散財する羽目になります。製造メーカーは、クレッシー・サブやMaresのほかに、OMER、Salvimar、Picasso、Sporasubといったスピアフィッシング系のメーカーから、いろいろと革新的なものが発売されています。
↓ 内容量が極端に小さい曲面構成のマスク。顔に合う合わないの相性がシビアです。
近視用の度付きマスク
近視の人用に度付きのマスクが販売されています。
また、水中マスクの内側にセットするメガネも販売されています。
古い眼鏡のつるを外してマスクの内側にセットしている人もいます。
私と相方は使い捨てコンタクトレンズを使用していますが、今までそれが原因でトラブルになったことはありません。海外のダイバーはコンタクトレンズを使うのが普通のようです。
目に海水が入ると雑菌がコンタクトレンズで繁殖する危険があるので、1回使い捨てのソフトレンズがおすすめです。
フィンの選び方
最初に断言してしまいますが、このようなシュノーケリング用といわれるフィンは全くおすすめできません。
理由は単純で、このようなフィンではたいした推進力が得られないからです。
このようなフィンは、もともとは水泳の選手が足首の柔軟性やキック力やキック効率の強化のために使っていたトレーニング用のフィンで、ダイビングやシュノーケリングのためのフィンではありません。
こんなフィンを履くくらいなら、普通にクロールで泳いだほうがよっぽど進みます(笑)
フィンを履く目的は「楽に長時間泳ぐこと」と、潮の流れに捕まった時に脱出できる「十分な瞬発力を得る」ことです。このようなフィンでは、どちらの目的にもかないません。
また、このようなフィンは水泳のように細かくたくさん蹴ることが必要になるので、魚を驚かせてしまいますし、なによりバシャバシャと見た目がよろしくありません。
やはり、ダイビング用のフィンを使って、ゆったりと大きなストロークで優雅に泳ぐほうが楽にシュノーケリングを楽しむことができます。
シュノーケリングの定番フィンと言えばGullのミューです。
最低でも、このくらいの長さのフィンが必要だと思ってください。
このシリーズには、さらに長いスーパー・ミューやワープというシリーズがあります。
いずれもゴムの質が良くて、履きやすく十分な推進力を得られる優れたフィンです。
脚力の弱い方でも、きちんとキックすれば普通に使いこなせます。
ただし問題が一つあって、それは「値段が高い」こと。
ミューが12,000円、ワープはその倍くらいのお値段です。
そこで値段のことも考えて、私がおすすめするのは、これ。
あのジャック・マイヨールのスポンサーもしていた一流メーカー、クレッシーサブのAGUAです。
プラスチックフィンなので値段も3,000円台とお安く、性能的にはミューやスーパーミューと同等です。国産メーカーのTUSAなどからも同様のフィンが同様の価格で出ていますが、どれも大差ないでしょう。繰り返しますが、シュノーケリングをやるには最低でもこのくらいの長さのフィンが必要です。
もちろんフィンが長くなった分だけ、サンゴを蹴らないような配慮と技術が必要です。
大きなフィンだと疲れるのでは?
こういった本格的なフィンを勧めると、初心者の方は「足が痛くならないか」「疲れちゃうんじゃないか」と心配されますが、長いフィンを使う最大の目的は「楽をすること」です。
スピアフィッシングをやる人は、20~30mも潜って1分間息をこらえて魚を取ってきますが、彼らが使うフィンは80㎝以上もあるロングフィンです。
彼らがこのようなフィンを使う最大の理由は「疲れないため」。疲れたら息が上がって水中に長時間いられませんからね。
3、4時間泳いで魚を探して2~30m潜って突いてくるくるんですから、最大限に楽に泳げるフィンでないと話にならないのです。
ですので「長いフィンは疲れそう」ではなく「長いフィンほど疲れない」と考えてください。
ただし、長いフィンで楽に泳ぐためには、それ相応のフィンキックの技術が必要です。
そのコツは「長いフィンほどゆっくり大きく動かす」ことです。
シュノーケリング用と言われている水泳のトレーニングフィンは、クロールと同じようなテンポでキックをしなければ進みません(本来が水泳用なんだから当然です)。
これに対して、ミューやワープのようなダイビングフィンは、ゆっくりと散歩をする歩調くらいのテンポでキックをし、ロングフィンではさらにゆっくりと大きくフィンを動かします。
イメージとしては、腿の下にある水の塊が腿~膝~脛~足~フィンと順に送られていき、最後に大きくしなったフィンの先端が水の塊を弾き出すような感じです。
こちらの動画を見ると、ゆったりと泳ぐイメージがわかるかと思います。
これは水中での映像ですが、海面でもフィンキックのイメージは同じです。違うのはフィンを空中に出さず、常に水中でキックするように注意する点だけです。
これだけゆったりとリラックスして泳げるようになれば、魚が驚いて逃げ出すこともなくなりますよ。
フルフットかオープンヒールか?
ダイビングフィンには、靴のように足全体がすっぽり入るフルフットと
サンダルのように踵をストラップで止めるオープンヒール(ストラップフィン)の二種類があります。
どちらが良いかといえば、これは足のホールドが断然快適なフルフットフィンしかないでしょう。
素足でフルフットフィンを履くのが最も快適ですが、海に入るまでの磯や砂利浜で足がボロボロになってしまうので、フィンソックスを履いた上からフィンを履くのが一般的です。
このGullの地下足袋のようなソックスはサンダルが履けるので便利です。底が少し厚手になっているものの方が岩場などでは安心です。
このような2~3㎜のネオプレーン製のソックスを履く時のフィンサイズは、素足よりも2㎝ほど大きめになります。
水中でもっとリラックスするために
このように自前の道具を揃えて、その扱いに慣れてきて、ゆったりと泳げるダイビングフィンを使えるようになれば、今よりもリラックスしてシュノーケリングを行うことができます。
さらにリラックスできるようになりたいならば、背の立つ深さのところで海底の岩に捕まって10秒ほど息を止めて海中の様子を見てみましょう。(間違ってもサンゴに捕まってはいけませんよ!)
波の音や砂の音、チリチリという不思議な音など、陸上とは違った世界を感じることができます。
そうして海中でもリラックスできるようになったら、上のプール動画のように海中を泳いでみましょう。りきまず、あわてず、ゆっくりと泳いでいると、海の中がとても心の安まる気持ちの良い空間に思えてきます。
水中でリラックスするためのポイントは、なによりも水になれることです。
たまにプールで泳ぐなどして基本的な水泳力をつけることは、最高に効果的なシュノーケリングの練習になります。
サンゴを守るために
ここまでの技術を身に着けたあなたは、バチャバチャと大騒ぎをして立ち泳ぎをするような観光シュノーケリングの客とは違った、本当のシュノーケラーです。
そうなればサンゴを傷つけることもなく、海を汚すこともなく、安全で自然に優しいシュノーケリングができるようになっているはずです。
サンゴを守るための最善の方法は、シュノーケリングをする人ひとりひとりの技術と知識の向上だと、私は思います。
沖縄の美しい海を子孫にも楽しんでもらうために、みなさんがもう少し本格的にシュノーケリングをやってくれることを願います。
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